2008年05月05日

宍塚の里山保全活動を見て①

前回のエントリーではかなり気合の入った事を言いましたが、しっかりと調べるにはなかなか時間がかかるので、今回はあまり学術的なことはありません。ごめんなさい。


ただ、僕は科学的な情報と負けないくらいに、リアルな体験が重要だと思ってます。
本やテレビなどから入ってくる情報は手軽ですが、どうしても断片的になるため、その事がらの本当の姿が見えにくくなります。
また、大なり小なりバイアスがかかっていることも考えられます。

そういう意味で、何か考える上で、リアルな体験から感じることは重要な情報なんじゃないかと。


まぁ、根本は同じですね。
僕は、より正確な情報を元に色々と判断をしていきたい。
その情報源が、科学であったり、リアルな体験であったりするわけです。
土台がぐらついている状態で考えるのは気持ち悪くて嫌です。


…前置きが長くなりましたが、今回はそんな体験のルポライト(?)とそこから感じたことを掲載します。



●宍塚の里山へ行きました

先日、大学院の実習の授業で、宍塚の里山保全活動を見学してきました。
場所は、筑波大学から車で15分ほど、土浦学沿線を土浦方面へ行った所。
自転車でもぎりぎりいけるくらいの距離です。


宍塚の里山保全活動を見て①
この奥の森が「宍塚の里山」


●里山って?

里山とは、人が継続的に利用することによって維持されている自然のこと。
普通の自然は、時がたつにつれてその姿が変わっていきます。
けれども里山は、人の手が継続的に入ることでそのバランスが一定に保たれています。
また、それにより、手付かずの自然よりも多くの生き物達が生息しているのです。

昔の日本では、このような里山が数多く存在したそうです。
けれども、開発が進み、里山は次々と姿を消していきました。

けれどもここには、約100ha(1km2)もの広さの里山が残っています。
住宅街の近くでこれだけまとまった広さで残っている里山は、全国的に見ても珍しいんですって。


宍塚の里山保全活動を見て①


●宍塚の里山の保全活動

そんな価値ある宍塚の里山の保全活動をされているのが、NPO法人 宍塚の自然と歴史の会さん。
田んぼの維持や雑木林の管理から、外来種の駆除、見学会の開催、調査活動など、非常に幅広く活動をされています。

前に書いたとおり、里山は人の手が入らないと維持できません。
そのため、この会の活動は非常に重要になってきます。

そのおかげでこの里山には、絶滅の危険があるサシバ(鷹の一種)やオニバス※1を始め、本当に多くの生き物たちが生息しているのです。

また里山は、地域の人たちの憩いの場としての役割も果たしています。
このような価値ある環境を後世に残すため、会の方々は多大な努力をされているというわけです。


●率直な感想

とりあえず上では里山の価値を言葉で並べたのですが、実際に歩いてみると正直理屈とかどうでもよくなってきます(笑)


道の横にある土手をふと見てみると、小さな穴があいている。
「これはねずみの巣なんです。手を入れると、土手の中に巣穴が広がってるのが分かりますよ」という説明をされて、実際に手を入れてみると、すぐに空洞にぶつかる。
姿は見えなかったけれど、そこに確かに生き物が住んでいることが感じられる。

遠くからはカエルや鳥の鳴き声が聞こえてくる。
林からしみ出した水でできた小川は、田んぼへ流れていく。
そんな環境が自分の周りに広がっていて、それを感じることができる。


なんか、こんな感じです(伝わるのかな…)。
率直に言って、非常に良い時間を過ごさせてもらいました。


宍塚の里山保全活動を見て①

宍塚の里山保全活動を見て①



実は僕は今まで、こういう保全活動には懐疑的な感じがありまして。

「多大な労力をかけてまで、生態系の保全とかする必要はあるんだろうか。優先度は低いんじゃないだろうか」
「『環境に良い事をしてるんだ!』という、単なる自己満足で活動が行われてるんじゃないか」
などど思っていました。いや、ほんとに。

でも実際に体験してみて、今までは一方向からしか物を見れてなかったと反省。
この感動を体験できるという理由だけでも、このような環境を守る価値はあるのかなぁと思いましたね。





まぁでも、それだけでは周りは納得してくれないのがこの世の中。
次回は少し学術的な要素も含めて話を発展させていこうと思います。


(つづく)



※1
サシバおよびオニバスは環境省のレッドリストにて絶滅危惧種Ⅱ類に指定されている。
なお、絶滅危惧種Ⅱ類の定義は「絶滅の危険が増大している種 」。

環境省 絶滅危惧種検索(http://www.biodic.go.jp/rdb/rdb_f.html




Posted by じょきょうじゅ at 01:37│Comments(2)百聞は一見に如かず
この記事へのコメント
保全活動に関しては、ぼくもおなじような懐疑を抱いたことがあります。
ただ最近は、「自己満足」は生産的なのかな――ということを考えます。

環境系のボランティアやリサイクルや……自己満足ととれるものはいくらでもあります。
でも、それが悪くはない方向へのムーブメントとなったとき、生産的にもなり得るのかも――と思うのです。
そのときは、環境問題はイデオロギーでもいいんじゃないかな。

あんまり自分のなかで考え切れていないので、意見というより感想です笑
Posted by papref at 2008年05月08日 05:17
>papref さん
コメントありがとう。僕もほぼ同意見です。
何でもものごとを進めるには、社会としてそれを認めるような雰囲気が必要ですからね。そういう意味では生産的だと僕も思います。
ただ、社会がそれ一色に染まってしまうのはどうなんだろう、とも感じますが…
(そんなことは現段階では杞憂ですけど)
Posted by じょきょうじゅ at 2008年05月09日 19:11
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