2008年09月23日
メタミドホス米はなぜ「危ない」のか その1
こんにちは、ご無沙汰しております。
三笠フーズの不正転売に端を発した事故米事件も、ようやく沈静化してきましたね。
本来食用でないものを転売して利益を出すなんて、ちょっと許しがたいです。というか、詐欺ですよね。
農水省のチェック機能も改善していく事を期待します。
ところで、この事故米、実際にはどれくらい危ないんでしょうか。
今回は、それを2回にわたって検証してみたいと思います。
なおここでは、メタミドホス米に限って議論します。
また、これだけで事件全体を評価しようと考えているわけではありません。
あくまでも「食べたらどうなるか」という点を考えてみるだけですので、よろしくお願いします。
●メタミドホスの毒性は?
食品安全委員会では、メタミドホスの一日摂取許容量を0.0006mg/kg体重/日と定めています。
この「一日摂取許容量」とは、「この量を毎日一生涯食べ続けても、人間の健康に影響が出ない量」です。
ただし、上の数字は「体重1kgあたり」で示してあるのでご注意ください。
つまり、体重60kgの人なら
0.0006×60=0.036
ですので、
一日あたり0.036mgまでなら、一生メタミドホスを食べても健康に影響が出ない
というわけです。
このような化学物質の毒性は、人では試験できませんから、動物実験によって確かめられます。
メタミドホスの場合、ラットやマウス、イヌ、ウサギなどで実験されていたみたいです。
動物や調べる項目によって結果が異なるのですが、その中で最もメタミドホスに敏感に反応したのはイヌで、その無毒性量は0.06mg/kg体重/日でした。
その0.06mg/kg体重/日という値を、念のためさらに100倍厳しくした0.0006mg/kg体重/日が、人におけるメタミドホスの一日摂取許容量というわけです。
このような理屈で決めらているため、体重60kgの人なら、0.036mg以下であればメタミドホスの摂取は無害である、と自信を持って言うことができます。
●事故米から摂取するメタミドホスの量は?
では、今回の事故米を食べるとどれくらいメタミドホスを摂取することになるのでしょうか。
検出されたメタミドホスの濃度は、基準の2倍から6倍、0.02~0.06ppmとのことでした。
ppmは百万分率のことで、1ppm=0.0001%です。
0.06ppmなら、1kgのお米に0.06mgのメタミドホスが入っている、ということになります。
なので、基準値の6倍(0.06ppm)のメタミドホスが入った米3合(450g)を一日で食べると、、
0.06mg×0.45=0.027mg
という量のメタミドホスを摂取する、ということになります。
これは、先ほど求めた体重60kgの人の量よりも少ないので、
どうやら今回のメタミドホス米は無害である
ということが言えそうです。
ここでは、見つかったメタミドホス米のうち、一番濃度の高いものを使って計算しました。
また、一日3合食べるという、比較的大食いな人を想定してます。
たぶん、一生涯これだけの量のメタミドホス米を食べ続けるのは、やろうと思っても難しいでしょうねぇ。
(つづく)
三笠フーズの不正転売に端を発した事故米事件も、ようやく沈静化してきましたね。
本来食用でないものを転売して利益を出すなんて、ちょっと許しがたいです。というか、詐欺ですよね。
農水省のチェック機能も改善していく事を期待します。
ところで、この事故米、実際にはどれくらい危ないんでしょうか。
今回は、それを2回にわたって検証してみたいと思います。
なおここでは、メタミドホス米に限って議論します。
また、これだけで事件全体を評価しようと考えているわけではありません。
あくまでも「食べたらどうなるか」という点を考えてみるだけですので、よろしくお願いします。
●メタミドホスの毒性は?
食品安全委員会では、メタミドホスの一日摂取許容量を0.0006mg/kg体重/日と定めています。
この「一日摂取許容量」とは、「この量を毎日一生涯食べ続けても、人間の健康に影響が出ない量」です。
ただし、上の数字は「体重1kgあたり」で示してあるのでご注意ください。
つまり、体重60kgの人なら
0.0006×60=0.036
ですので、
一日あたり0.036mgまでなら、一生メタミドホスを食べても健康に影響が出ない
というわけです。
このような化学物質の毒性は、人では試験できませんから、動物実験によって確かめられます。
メタミドホスの場合、ラットやマウス、イヌ、ウサギなどで実験されていたみたいです。
動物や調べる項目によって結果が異なるのですが、その中で最もメタミドホスに敏感に反応したのはイヌで、その無毒性量は0.06mg/kg体重/日でした。
その0.06mg/kg体重/日という値を、念のためさらに100倍厳しくした0.0006mg/kg体重/日が、人におけるメタミドホスの一日摂取許容量というわけです。
このような理屈で決めらているため、体重60kgの人なら、0.036mg以下であればメタミドホスの摂取は無害である、と自信を持って言うことができます。
●事故米から摂取するメタミドホスの量は?
では、今回の事故米を食べるとどれくらいメタミドホスを摂取することになるのでしょうか。
検出されたメタミドホスの濃度は、基準の2倍から6倍、0.02~0.06ppmとのことでした。
ppmは百万分率のことで、1ppm=0.0001%です。
0.06ppmなら、1kgのお米に0.06mgのメタミドホスが入っている、ということになります。
なので、基準値の6倍(0.06ppm)のメタミドホスが入った米3合(450g)を一日で食べると、、
0.06mg×0.45=0.027mg
という量のメタミドホスを摂取する、ということになります。
これは、先ほど求めた体重60kgの人の量よりも少ないので、
どうやら今回のメタミドホス米は無害である
ということが言えそうです。
ここでは、見つかったメタミドホス米のうち、一番濃度の高いものを使って計算しました。
また、一日3合食べるという、比較的大食いな人を想定してます。
たぶん、一生涯これだけの量のメタミドホス米を食べ続けるのは、やろうと思っても難しいでしょうねぇ。
(つづく)
2008年09月01日
サイエンスコミュニケータへの第一歩?
どうも、ご無沙汰していました。しばらく、更新できずすみません…。
更新できなかった主な理由は、サイエンスコミュニケータ養成実践講座の最終課題でばたばたしたからです。
はい、言い訳です。ごめんなさい。

(こんなところで一ヶ月間学んできました)
何はともあれ、約一ヶ月間国立科学博物館で行っていたこの講座では、本当に様々なものを得ることができました。
情報だけでなく、同期とのつながりや、博物館での貴重な体験など、正直数え切れません。
でも、これがスタートなんだなとも痛感しました。
26日に、最終課題として自分の専門に関する内容を15分間お話したのですが、双方向のコミュニケーションには程遠い結果でした。
こちらからの一方的な伝達、つまり普通の発表ですら不完全という状態。
サイエンスを分かりやすく、かつ楽しく伝えるのがこんなに難しいとは。
口で言うのは簡単なんですけどね。
そして、自分の専門性の大切さも実感。
面白く、そして聞く価値のある話は、深い専門性からしか作れないということを身をもって知りました。
僕の専門は、「化学」。
どうやら彼とは一生のお付き合いになりそうです。
もっともっと勉強しないといけませんね。
筑波大学は8月で夏休みが終わり、今日から新学期です。
あっという間だったなぁ、夏休み。
更新できなかった主な理由は、サイエンスコミュニケータ養成実践講座の最終課題でばたばたしたからです。
はい、言い訳です。ごめんなさい。

(こんなところで一ヶ月間学んできました)
何はともあれ、約一ヶ月間国立科学博物館で行っていたこの講座では、本当に様々なものを得ることができました。
情報だけでなく、同期とのつながりや、博物館での貴重な体験など、正直数え切れません。
でも、これがスタートなんだなとも痛感しました。
26日に、最終課題として自分の専門に関する内容を15分間お話したのですが、双方向のコミュニケーションには程遠い結果でした。
こちらからの一方的な伝達、つまり普通の発表ですら不完全という状態。
サイエンスを分かりやすく、かつ楽しく伝えるのがこんなに難しいとは。
口で言うのは簡単なんですけどね。
そして、自分の専門性の大切さも実感。
面白く、そして聞く価値のある話は、深い専門性からしか作れないということを身をもって知りました。
僕の専門は、「化学」。
どうやら彼とは一生のお付き合いになりそうです。
もっともっと勉強しないといけませんね。
筑波大学は8月で夏休みが終わり、今日から新学期です。
あっという間だったなぁ、夏休み。