2011年03月21日
つくばでの内部被曝の量を見積もってみた
福島第一原発の事故の影響で、つくばでも、放射性物質が検出されているとの調査結果が複数の機関から出されました。
つまり、多かれ少なかれ、内部被曝をしてしまう、ということですが、それではその量はどれくらいなのだろう、どれほど危ないだろう、という事を概算してみました。
なお、私は化学系の修士卒であり、ある程度放射性物質に関する知識はありますが、放射線の健康影響のプロではありません。
自分が信頼できると判断した情報元をベースに、大丈夫だろうと考え、算出をしました。
要所要所に、材料となるサイトを明記しましたので、おかしいと感じた場合は適宜参照してください。
そして、間違いがあった場合は指摘していただけると幸いです。
よろしくお願いいたします。
○概要
2011年3月15日~17日のつくばの放射性物質の大気中濃度が1年間続いた場合の、生涯体内被曝量を概算しました。結論としては、多く見積もっても、成人ではおよそ2mSv(ミリシーベルト)でした。これは、一年間に浴びる平均的な放射線量 2.4mSv程度の量を数十年かけて浴びる、ということです。日本-ニューヨーク間を飛行機で一往復すると0.2mSvの放射線をあびるそうなので、およそ10回分に相当します。
飛行機による被曝量についてはこちら→http://www.nirs.go.jp/research/jiscard/information/daily.html
そのため、心配するほどのことではない、ということが分かります。
以下、少しややこしいですが、求めた過程を示します。
○算出の過程
1) 測定データ
高エネルギー加速器研究機構のWEBサイト http://bit.ly/dJ28mt にあった4つの観測データのうち、一番多く放射性物質が検出された、3/15 14:39-17:34 の結果を使いました。いくつか放射性物質の種類がありますが、量が多いヨウ素131とテルル132のみ計算しました(他のものは、桁が違うので大筋の結論には影響しないと考え割愛)。
2) 体内に取り込む放射性物質の量の見積もり
一日に20立方メートルの空気を吸うと考えると、表の値は立法センチメートル単位なので、その数値に×100,000(修正6/6)1,000,000×20をすれば求められます。すると、一日当たり600Bq(ベクレル)のヨウ素131と、400Bqのテルル132を体内に取り入れることがわかります。3月15日の状況が一年間続いたとすると、取り込む量はホウ素131が219,000Bq分、テルル132が146,000Bq分となります。
※Bqは、正しくは「1秒あたりに放出される放射線の量」なので、見出しにはちょっと語弊がありますが、本質的な意味は同じと考えてこのようなタイトルをつけました。
3) 放射性物質の種類ごとの、半減期や影響度の差異を反映
2)で求めた数値に、「実効線量係数」というものをかけます。これで、放射性物質を体内に取り入れた場合の一生涯の被曝量(預託実効線量)が求められます。この値は、放射性物質の種類と、取り込む経路によって値が決められています。一覧はこちら http://bit.ly/hGA0Kq
※実効線量係数は、半減期も考慮されて決められているので、かけるだけで内部被曝の量の見積もりができます。
表によると、実効線量係数はヨウ素131-吸入で7.4×10^-9 (Sv/Bq)、テルル132-吸入で2.0×10^-9 (Sv/Bq)なので、これを前出の数字とかけると、ヨウ素131が1.62 mSv 、テルル132が0.292 mSv になります。合計で1.912 mSvとなり、最初の結論が出ます。
4) 補足
a. 茨城県では、3/16の12:00ごろに、それまでの5倍ほど多い放射線が検出されました http://plixi.com/p/85695021 が、万が一この量が一年間続いたとしても、生涯の体内被曝量は10 mSv以下です。国際放射線防護協会の勧告では、ヨウ素131由来の年間許容量を50 mSvと定めており、これと比べてかなり小さい数値になってます(ただし、放射性物質の種類によって許容量は異なるのでご注意を。それでも問題ないと思いますが)。
b. 小児は、もっと放射線に対して弱いのですが、ここでは算出していません(情報がすぐには見つけられなかったため……すみません)。時間が取れれば、追記します。
c. 実際は、一年間もこの状態が続くとは考えにくいですので、かなり厳しく見積もった値です。
以上です。
はじめにも書きましたが、間違っている点などを見つけてくださった方は、ぜひご連絡をお願いします!
よろしくお願いします。
2011/06/06 追記
コメントで指摘していただいた、数値のミスを修正しました(100,000→1,000,000)。
書き込んでくださっているように、表記は間違えてしまったのですが、
計算結果は合っています。
つまり、多かれ少なかれ、内部被曝をしてしまう、ということですが、それではその量はどれくらいなのだろう、どれほど危ないだろう、という事を概算してみました。
なお、私は化学系の修士卒であり、ある程度放射性物質に関する知識はありますが、放射線の健康影響のプロではありません。
自分が信頼できると判断した情報元をベースに、大丈夫だろうと考え、算出をしました。
要所要所に、材料となるサイトを明記しましたので、おかしいと感じた場合は適宜参照してください。
そして、間違いがあった場合は指摘していただけると幸いです。
よろしくお願いいたします。
○概要
2011年3月15日~17日のつくばの放射性物質の大気中濃度が1年間続いた場合の、生涯体内被曝量を概算しました。結論としては、多く見積もっても、成人ではおよそ2mSv(ミリシーベルト)でした。これは、一年間に浴びる平均的な放射線量 2.4mSv程度の量を数十年かけて浴びる、ということです。日本-ニューヨーク間を飛行機で一往復すると0.2mSvの放射線をあびるそうなので、およそ10回分に相当します。
飛行機による被曝量についてはこちら→http://www.nirs.go.jp/research/jiscard/information/daily.html
そのため、心配するほどのことではない、ということが分かります。
以下、少しややこしいですが、求めた過程を示します。
○算出の過程
1) 測定データ
高エネルギー加速器研究機構のWEBサイト http://bit.ly/dJ28mt にあった4つの観測データのうち、一番多く放射性物質が検出された、3/15 14:39-17:34 の結果を使いました。いくつか放射性物質の種類がありますが、量が多いヨウ素131とテルル132のみ計算しました(他のものは、桁が違うので大筋の結論には影響しないと考え割愛)。
2) 体内に取り込む放射性物質の量の見積もり
一日に20立方メートルの空気を吸うと考えると、表の値は立法センチメートル単位なので、その数値に×
※Bqは、正しくは「1秒あたりに放出される放射線の量」なので、見出しにはちょっと語弊がありますが、本質的な意味は同じと考えてこのようなタイトルをつけました。
3) 放射性物質の種類ごとの、半減期や影響度の差異を反映
2)で求めた数値に、「実効線量係数」というものをかけます。これで、放射性物質を体内に取り入れた場合の一生涯の被曝量(預託実効線量)が求められます。この値は、放射性物質の種類と、取り込む経路によって値が決められています。一覧はこちら http://bit.ly/hGA0Kq
※実効線量係数は、半減期も考慮されて決められているので、かけるだけで内部被曝の量の見積もりができます。
表によると、実効線量係数はヨウ素131-吸入で7.4×10^-9 (Sv/Bq)、テルル132-吸入で2.0×10^-9 (Sv/Bq)なので、これを前出の数字とかけると、ヨウ素131が1.62 mSv 、テルル132が0.292 mSv になります。合計で1.912 mSvとなり、最初の結論が出ます。
4) 補足
a. 茨城県では、3/16の12:00ごろに、それまでの5倍ほど多い放射線が検出されました http://plixi.com/p/85695021 が、万が一この量が一年間続いたとしても、生涯の体内被曝量は10 mSv以下です。国際放射線防護協会の勧告では、ヨウ素131由来の年間許容量を50 mSvと定めており、これと比べてかなり小さい数値になってます(ただし、放射性物質の種類によって許容量は異なるのでご注意を。それでも問題ないと思いますが)。
b. 小児は、もっと放射線に対して弱いのですが、ここでは算出していません(情報がすぐには見つけられなかったため……すみません)。時間が取れれば、追記します。
c. 実際は、一年間もこの状態が続くとは考えにくいですので、かなり厳しく見積もった値です。
以上です。
はじめにも書きましたが、間違っている点などを見つけてくださった方は、ぜひご連絡をお願いします!
よろしくお願いします。
2011/06/06 追記
コメントで指摘していただいた、数値のミスを修正しました(100,000→1,000,000)。
書き込んでくださっているように、表記は間違えてしまったのですが、
計算結果は合っています。